口腔外科

口腔外科について

安心で安全を目指す
口腔外科治療

口腔外科とはあまり聞きなれない診療科目かも知れません。
一番多いのは親知らずの抜歯です。ほとんどの歯科医は総合病院や大学病院に依頼されるようです。
また、施設によっては入院をすすめるところもあります。
当院ではすべて外来で抜歯が可能です。腫れや痛みが酷くなければ、その日のうちに抜歯することも可能です。
また、口腔外科は歯や口の中だけでなく、顎や顔の病気を治療します。
顎の関節やその周囲の病気(いわゆる顎関節症)の治療や、外傷の治療、一般歯科では対応できない、全身の重い病気をお持ちの患者さんにも対応しています。

親知らず

親知らずは一番最後に生えてくる永久歯です。
親知らずは抜歯するイメージがありますが、特にトラブルが生じていない場合は無理に抜歯する必要がありません。しかし、昔に比べて現代人の顎は細く小さく、親知らずが生えるスペースが足りず、斜めや横向きに生えたり、歯ぐきの中に埋まったままだったりするケースが多くみられます。
磨き残しが増えて汚れが溜まり、むし歯・歯周病のリスクが高まる恐れがある場合は、抜歯が必要です。当院では精密な検査から親知らずの状態を明らかにし、抜歯が必要かどうかを的確に診断した後に治療を進めてまいります。

下顎(かがく)
親知らずの抜歯

下顎の親知らずは真横になっていることが多く、そのまま抜けない場合は歯ぐきを少し切開します。
歯冠(しかん)が骨で覆われている場合は、歯冠の骨を削ります。
それでも抜けない場合、歯冠と歯根(しこん)の境目を削って、二つに分けて取り出します。
切開した歯ぐきは縫い合わせて、 1週間後に抜糸します。
口唇の神経が歯根に接していると、日常生活には支障はありませんが、まれに口唇にしびれが残ることがあります。
多くの場合1週間以内に元に戻りますが、まれに長引くこともあり、 その場合は回復させるお薬を処方します。そのほか合併症は、酷い腫れ・痛み・発熱・嚥下(えんげ)障害・手前の歯がしみるなどです。
腫れのピークは3日目くらいで、 通常1週間でおさまります。痛みや腫れ、熱に対しては頓服の薬を処方します。
酷い痛みがいつまでも続く場合は、特別な処置が必要ですので、放置せず必ず受診してください。

上顎(じょうがく)
親知らずの抜歯

下顎の親知らずに較べると抜きやすいことが多いです。合併症としては、鼻の横に上顎洞という大きな空洞が広がっています。
歯根の先が突き出ていて、 歯を抜くとそこに穴が開き、口と鼻が交通してしまうことがあります。
小さな穴なら自然にふさがることもありますが、もしふさがらなかった場合、歯ぐきでふたをする手術が必要です。

当院では、手術を避けるため、もし穴が見つかったら、その場でプラスチックのカバーを作製し、穴を覆います。そうすると、血液がたまり、肉ができ、 1週間でふさがります。

口腔外傷

傷・やけどは
絶対に消毒してはいけない

当院も湿潤療法と出会うまで、これらが正しいと信じて、 抜歯や手術傷の処置をしてきました。
手術後は必ず消毒用のうがい薬を処方し、患者さんが来院されるたびに傷の消毒をしていました。
しかし最近、テレビや雑誌でも頻繁に取り上げられているので、ご存知の方も多いと思いますが、傷・やけどには消毒用のうがい薬を使用してはいけないことがわかりました。
当院でも数年前から傷の消毒を完全にやめました。
患者さんには、翌日から水道水でうがいをしてもらいます。
手術後は経過観察のため来院していただきますが、消毒しなくても化膿せず、かえって治りも早くなりました。

当院が考える治療法

  • 01

    手術後であっても、どんな傷でも、絶対に消毒してはいけません。消毒薬の入ったうがい薬や軟膏も使ってはいけません。
    消毒して痛いのは、それが人体を痛めつけている可能性があるからです。バイ菌を殺すと同時に、身体を治す細胞も殺しているのです。
    傷に使っていいものは、目に入れてもいいものだけです。

  • 02

    化膿した傷を消毒しても、治療効果はほとんどありません。
    膿を出して原因を取り除き、しっかり水洗いする必要があります。

  • 03

    乾燥させると傷を治す細胞が死んでしまいます。
    細胞が痛めつけられ、ズキズキ・ヒリヒリしてきますが、ワセリンを塗って乾燥を防ぐと、痛みは急に和らぎます。ガーゼを当てて乾かしたら、治りが遅くなるだけではなく、乾燥して傷にくっつきます。
    はがす時の痛みは、治療ではなくただ苦しい思いをするだけになります。

  • 04 05 06

    ④⑤⑥傷は水道水でどんどん洗いましょう。
    化膿を防ぐ適切の方法です。日本の水道水にばい菌はいません。
    滅菌水など不要です。

  • 07

    乾燥するとかさぶたができます。カサブタは傷の治りが悪いときにできるものです。
    このように、消毒せず乾燥させないと、傷は痛くなく、驚くほどの速さでキレイに治ります。口の中の傷が速く治るのは乾燥しないからです。
    抜歯のような、骨が見えるほどのひどい傷でも、1週間で治ってしまうのです。※1

消毒せず、乾燥させない治療法をうるおい療法(湿潤療法)と言います。
ほとんどの傷は、一般のご家庭でも、よく水洗いして、ワセリンをべったり塗ってその上からサランラップで巻いておくだけで簡単に治ります。
市販のキズパワーパッドも同じ効果があります。

ただし、脂肪が見えるほどの深い傷、血が止まらない、動物にかまれた、砂などの異物が入り込んだなどの場合、念のため病院を受診してください。

顎関節症

顎の痛みや口の開けにくさ、口を開けるとこめかみ辺りから音が鳴るなどの症状は、顎関節症の疑いがあります。
顎関節症を引き起こす原因は、顎に生じた炎症や関節の部分的な変形などさまざまです。痛みがなく比較的軽度の場合は、経過観察を行っていきます。しかし、痛みや違和感が強く重症化している場合は、早期の治療が必要です。顎関節症を放置すると、頭痛や肩こりなどが悪化し、全身にまで悪影響が及ぶ恐れがあります。当院では精密な検査や患者さんからお伺いした生活習慣などをもとに、顎関節症の適切な治療法をご提案いたします。

顎関節症の治療法

スプリント療法

スプリント療法ではマウスピースを使用し、就寝時に装着していただきます。
マウスピースにより、歯ぎしりや食いしばりの際の圧力が分散され、顎関節や歯周組織にかかるダメージを軽減できます。マウスピースを使用するのは睡眠中のみです。日中は装着する必要がなく、いつも通りの生活をしながら顎関節症の治療が可能です。

咬み合わせ調整(整復術)

咬み合わせのバランスが崩れている状態では、特定の箇所に力がかかり続け、顎関節やお顔の筋肉に悪影響を及ぼす恐れがあります。
その状態を放置することで、顎関節症を発症するケースもあるため、早期発見・早期治療が大切です。治療では、一部の歯を削ったり高くしたりなどの調整を加え、咬み合わせの正しい状態をめざします。

マニピュレーション法

お口の中に手を入れ、顎の動きを支える関節円板を少しずつ移動させ、正しい位置へ戻してあげるのがマニピュレーション法です。
口を開けるのが難しく痛みがある場合や、薬物療法でも改善しない場合に対応する治療法です。治療での痛みはほとんどありません。ストレスや恐怖感を抑えた顎関節症の治療を心がけておりますので、どうぞご安心ください。