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う蝕予防
『フッ素は危険ですよね』と聞かれます
こんにちは
長尾歯科医院 歯科衛生士からお話があります。
とてもとても長くなりますが、この『フッ素は危険ですよね』と、よく患者さんから聞かれることなので、一度、詳しく調べたものを、皆さんによく読んでいただけたらと思います。
フッ素ってご存知ですか?
フッ素(正しくはフッ化物)は
虫歯に対する歯自体の抵抗力をあげ、虫歯になりにくくする効果があります。
そのため、多くの歯科医院でもおすすめしていると思います。
一方で、
「フッ素は塗らない方が良い」という意見を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
このように相反する意見があるため、
「実際のところ、フッ素って良いの?悪いの?」と気にされてる方もいるかと思います。
そこで
フッ素は塗らない方が良い?危険なのか?について
フッ素ってなに?
そもそも、フッ素って?
フッ素(F)とは、自然界に広く存在する物質であり、原子番号9の元素です。
自然界では土壌に最も多く含まれ、他にも海水など、さまざまなものに含まれます。
また、緑茶やウーロン茶、海産物、肉、野菜、果物など色々な飲食物にも含まれています。
このように、私たちが普段から口にするものに含まれている物なので、
「フッ素=危険」というわけではありません。
それでも、フッ素は危険だと言われるのはどうしてなのでしょう?
フッ素は危険なの?
「フッ素は危険、塗らない方が良い」と言われるのはなぜでしょう?
ここからは、フッ素が危険だと捉えられる理由について、考えられることを書いていこうと思います。
▪️フッ素は毒??使っても大丈夫なの?
実は、元素のフッ素単体は猛毒です。
猛毒と聞くと、「え?それ使っても大丈夫なの?!」と気になりますよね。ですがフッ素は反応性が高く、ほとんどの単体元素を酸化してすぐに化合物(フッ化物)を作ります。
そのため、毒であるフッ素単体の状態ではほとんど存在できません。
つまり、フッ素単体は危険なものだとしても、すぐ反応して化合物となるため問題ないのです。また、実際に虫歯予防に使われている化合物(フッ化物)は、フッ化ナトリウムです。
この粉末自体は、薬事法で劇薬と分類されます。
ただ、これを溶解した、フッ素としての濃度が1%以下のものは、普通薬となります!
そのため、幼稚園や保育園、学校、お家などで一般の人が取り扱っても特に問題ありません!
(※ただし、溶液の作製・保管については要注意です。)
▪️フッ素で中毒症状??どれくらいで起きるの?
さきほど「フッ素=危険ではない」と書きましたが、実際には注意をしなければならないこともあります。
『薬も過ぎれば毒となる』ということわざは聞いたことがあるかと思います。
この言葉通り、食品や薬などは使い方次第で薬にも毒にもなるのです。
適量を適正に使用すれば効果があっても、
量や使用方法を間違えると体に悪影響を及ぼしてしまいます。
フッ素も同じで、過剰摂取をすれば悪影響が出ます。
フッ素を過剰摂取すると副作用が現れることがあり、それらは大まかに急性中毒、慢性中毒に分けることができます。
◎急性中毒
…一気に過剰な量のフッ素を飲むことによって、下痢や嘔吐・吐き気・けいれんなどが起きることがあります。
フッ素の急性中毒の発現量は2〜4mg/kgとされており、
約10kgの子供であれば、20mgのフッ素で中毒症状が出る可能性があります。
(※ちなみに、
詳しく知りたい方のために書きますと、
『ppm』とは濃度を表す割合のことで、
フッ素濃度1%=10,000ppm。
フッ素濃度 (%)=ppm×0.0001
1000ppm =0.1%です。
例えば1500ppmの歯磨き粉1gの中には、0.15%なのでフッ素が1.5mg含有されているということになります。)
20mgに達するためには
100 ppm の歯磨き粉なら200 g、
500ppmの歯磨き粉なら40g、
1000ppmの歯磨き粉なら20gを一気に飲む必要があります。
今度は約15kgの子供で考えると、30mgのフッ素を飲むと中毒症状が出る可能性があります。
30mgに達するためには
500ppmの歯磨き粉だと60g 、
1000ppmの歯磨き粉だと30g、ほどを一気に飲むことが必要になります。
お子さん用のメジャーな歯磨き粉の1つで、
当院でも販売しているチェックアップのバナナ味であれば、
500ppmで60gの歯磨き粉なので
15kgのお子さんが1本丸々飲み込んでしまうと、中毒量に達する可能性があります。
また、フッ素濃度高配合の歯磨き粉、例えば
1450ppmの歯磨き粉なら、100gあれば
100g×0.145=145mgのフッ素が含まれます。
そのため、
60kgほどの大人であれば、中毒量は120mgなので1450ppmの歯磨き粉を約82.76gほど飲み込む必要があります。
このように、かなりの量を一気に飲み込まない限りは、中毒は起きません。
致死量はさらに何倍も飲み込む必要があるため、とても到達はしません。
ただし、小さいお子さんの場合は注意が必要です!
10kgのお子さんの場合、
1450ppmの歯磨き粉を約13.79gほど飲み込むと中毒量の20mgに達します。
また、15kgのお子さんの場合は、1450ppmの歯磨き粉を約20.69gほど飲み込むと中毒量の30mgに達します。
このように低年齢のお子さんの場合は、
高濃度の歯磨剤だと、それだけ少ない摂取量で中毒が起きやすくなるため、
万が一のため、歯磨き粉の扱いには充分に気をつけてくださいね!!
◎慢性中毒
…長期間、飲料水などにより過剰なフッ素を摂取することによって起こります。
「歯のフッ素症」と「骨フッ素症」があります。
飲料水のフッ化物の適量が0.8-1.2ppmとされる中、
「歯のフッ素症」は2ppm以上、「骨フッ素症」は8ppm以上の濃度の飲料水を長期間摂取することで起きるとされます。
「歯のフッ素症」
「斑状歯」ともいわれ、高い濃度(適量の2〜3倍程度)のフッ素を、あごの骨の内部で歯が形成される時期に継続的に摂取することによって、エナメル質の色や形態に異常が起きるものです。
程度により異なりますが、
歯の表面に境界不明瞭な白斑・白濁や縞模様があらわれたり、重症であれば歯の一部が褐色になったり歯の表面に穴があいた状態になることもあります。
ちなみに乳歯が作られる時期はまだお母さんのお腹の中にいる時なので、
胎児や歯は、フッ素の過剰摂取の影響を受けにくく、乳歯が斑状歯になることはほとんどありません。
対して永久歯は、生まれてから8歳頃までの時期に歯が出来上がる(石灰化する)ため、
その時期にフッ素の過剰摂取をすると斑状歯になってしまう可能性があります。
※ちなみに、エナメル質が完全に形成された後に過剰のフッ素を摂取したとしても、斑状歯は発生しません。
「骨フッ素症」は、インドや中国などの、フッ化物濃度の高い飲料水を使っている地域でよく起こっていた症状です。
毎日、適量の10倍以上のフッ化物を、少なくとも10年以上の長期間にわたって摂取した場合に見られます。
だんだん手足の自由がきかなくなり、重症になると異常な骨の形成等(運動障害性フッ素症)が見られることもあります。
※これは特殊な地域の話で、日本では安全な濃度に設定されています。
↓
あとに出てくる、水道水フロリデーションを参考にしてくださいね。
▪️フッ素は癌の原因になるの!?
昔、「水道水フロリデーションをされていた地域では、癌が原因で亡くなった人が多い」という報告がされたそうです。
しかしこれは、実はアメリカで調査されたデータを間違って解釈したもので、事実ではないことがわかりました。
また「水道水フロリデーションをされていた地域では、子宮癌による死亡率が高い」という報告もありました。
ですがこれも、実際はデータをとった地域や分析に不備があったとされ、とくに差は確認されなかったようです。
アメリカの癌の研究所では、水道水フロリデーションと癌は無関係である、としています。
このように無関係だと言われているにもかかわらず、
フッ素が癌の原因になる、という間違った内容が広がっているようです。。
▪️ヨーロッパではフッ素は禁止されてるってほんと?PFASってなに?
『フッ素がヨーロッパなどで禁止されている』と聞いたことがある方もいるかもしれません。
たしかに、ヨーロッパでは、国によってフッ素に対する規制が異なります。
ドイツ、スウェーデン、オランダなどではフッ素の添加は行われていないようです。
ただこれは、フッ素自体が禁止なわけではないのです!!
これらの国では、飲料水へのフッ素添加は行っていませんが、フッ素配合の歯磨き粉は広く使用されています。
「ヨーロッパではフッ素は禁止!」という文言がよく言われているように思いますが、
実際はフッ素全てが否定されているわけでなく、むしろフッ素をうまく使って虫歯の予防をしているのです。
また、歯科で用いているフッ素とは全く別のものなのですが、
毒性があるとして規制されているフッ素もあります。
フッ素はフッ素でも、
PFAS(ピーファス)という「有機フッ素化合物」は、世界中で規制や禁止をされています。
これはフッ素と炭素の結合を含む人工化合物の総称で、人体や環境に対して有害であるとされ、すでに世界中に汚染が広がっています。
これに対して、虫歯予防に使われるフッ素は「無機フッ素化合物」であり、名前は似ていますが全くの別物です!!
一部のフッ素が有害だからと言って、虫歯予防に使っているフッ素も有害なわけではないのです。
これを混同して、「フッ素は危険で、世界中で禁止されてる!」という話が出ているのかもしれません。。
このように、フッ素の反対論については、誤解に基づくものが多いように思います。
では今度は、フッ素の効果や応用方法についてお話しますね。
フッ素はどんな効果がある?使わないのはもったいない?
▪️フッ素と虫歯のかかわり
ここで、フッ素と虫歯のかかわりについて、お話したいと思います。
歯がまだらになる斑状歯は、1800年代から世界中で報告されていましたが、原因がわからずにいました。
それが1936年に、飲料水に過剰に含まれているフッ素が原因だと解明されたのです。
そこからフッ素についての研究が行われ、
過剰摂取すれば歯のフッ素症を引き起こすが、過剰でなければ歯はまだらにはならず、むしろ虫歯が少なくなることがわかりました。
そこで、WHOでもフッ化物の応用を推進し始めました。
フッ素を使いだした国々の虫歯が激減していく中、日本ではフッ化物の応用を積極的にすすめていなかったため虫歯の数はなかなか減りませんでした。
ですが、WHOからの働きかけもあり、
2017年には91%以上の歯磨き粉にフッ素が配合されるようになり、そのおかげで以前に比べ虫歯はかなり減ってきています。
このように、フッ素は何十年も前から研究され、虫歯予防に利用されています。
▪️フッ素の効果!使わないともったいない?
虫歯予防に役立つフッ素の効果として、主なものが3つあります。
◎溶けた歯を修復する(再石灰化)
…食事をすると、虫歯菌が糖分を原料にして酸を作り、その酸によって歯の表面からカルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出してしまいます。
これを『脱灰』といいます。
対して唾液には、『脱灰』した歯の表面に、カルシウムイオンやリン酸イオンを補給することで歯を修復し、健康な状態に戻す『再石灰化』という作用があります。
この『脱灰』と『再石灰化』はお口の中で常に起こっていて、そのバランスが崩れて『脱灰』に傾くと虫歯になってしまうのです。
フッ素はこの『再石灰化』を促して、虫歯を予防する・初期の虫歯を改善する効果があります!
◎歯質を強化する
…フッ素は、歯の表面にあるエナメル質と結合することで、酸に溶けにくいフルオロアパタイトという構造を作ります。
その結果、脱灰しにくくなるため、虫歯になるリスクが軽減します。
◎虫歯菌の活動を抑制する
…フッ素には、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。それによって、虫歯菌が作り出す酸の量を減らす効果が期待できます。
このように、フッ素には虫歯予防に効果的な作用があります!
さきほども触れたように、実際にフッ素が使われるようになってから、世界中の虫歯の数が減りました。
日本でも昔のような虫歯だらけの時代は終わり、予防が中心の世の中になってきました。
▪️フッ素はどうやって使われているの?
フッ素の応用方法には、「全身応用」と「局所応用」があります。
◎「全身応用」
…歯が形成される時期に、経口摂取され消化管で吸収されたフッ化物が歯に取り込まれ、虫歯に対して抵抗性の高い歯を形成させる方法です。
また、生えた後の歯の表面にも作用します。
代表的なものには、水道水フロリデ-ション、フッ化物錠剤、フッ化物添加食塩などがあります。
水道水フロリデーションとは?
…水道水に含まれるフッ化物を適正な濃度に調整し、その水道水を飲むことで歯を強くし、虫歯を予防する方法。
虫歯予防のために推奨されるフッ化物の濃度は、WHOでは0.7~1.0ppmとされます。
ちなみにフッ化物の水質基準はWHOは1.5ppm以下、日本は0.8ppm以下となっており、日本では慢性中毒が起こる可能性はかなり低いと考えられます。
ちなみに、現在の日本では水道水フロリデ-ションは未実施であり、フッ化物錠剤も販売されていません。
※日本の中でも、米軍基地では水道水フロリデーションが実施されているようです。
◎「局所応用」
…歯の表面に直接、フッ化物を作用させる方法です。
代表的なものは、フッ化物歯面塗布、フッ化物洗口、フッ化物配合歯磨剤などがあります。
みなさんに身近なのは、こちらの局所応用のやり方ですよね。
先ほど出てきた中毒症状ですが、フッ素による中毒症状が現れるのは、
あくまでも、フッ素が多く含まれる物を大量に体内にとりこんだ場合です。
日本の水道水のフッ素の量は規制されているため、そこからの中毒などは起こる可能性は低い、とお話ししましたね。
それ以外で心配になるのは、歯科医院でのフッ化物歯面塗布や、お家でのフッ化物洗口、フッ化物配合歯磨剤かと思います。
フッ化物歯面塗布
歯科医院で9000ppmもの高濃度のフッ化物ジェルを歯の表面に塗ります。
こちらは高濃度ですが、歯科医師や衛生士が扱うため、問題はありません。
虫歯予防効果は30〜40%です。
フッ化物配合歯磨剤
現在はほとんどの歯磨き粉にフッ素が配合されているので、手軽に取り入れやすい方法だと思います。
歯を磨き終わった後は、歯磨き粉は唾液と一緒に、口から出すことが多いかと思います。もし飲み込んでいたとしても、先ほど書いたように、かなりの量を一気飲みしない限りは中毒は起こりえません。
(※小さいお子さんは誤って丸呑みしないように、歯磨き粉の管理には気をつけてくださいね。)
虫歯効果は20〜30%です。
フッ化物洗口
フッ化物の入った液で、1分ほどブクブクうがいを行います。
毎日法(週5回法)250〜450ppmと、週1回法900ppmがあります。
特に4歳児から中学卒業頃まで継続的に実施することによって、虫歯予防として大きな効果があるとされます。
(フッ化物洗口を行わない場合と比較すると、虫歯を約半分に減らせると言われています!)また、大人になってからも、虫歯予防の効果は持続します!
フッ化物の局所応用の中でも、特に有効な方法です。
虫歯予防効果は50〜80%です!ただし、小さいお子さんの場合は、
吐き出さずに飲み込んでしまう可能性があります。中毒などは大丈夫なのか、気になるところですよね。
フッ化物洗口には、毎日法(週5回法)と週1回法があるのですが、
より濃度が高い週1回法で、1回分の洗口液を全量飲み込んだとしても、中毒量には全然達しません。
フッ化物洗口では、1回分の量を全て飲み込んでも、安全な量に処方されています。
たとえば、濃度が900ppmの洗口液を10ml飲み込んだ場合、9mgのフッ素を体内に取り込んだことになります。
体重が30kgの子どもであれば60mgが中毒量になりますので、
6〜7人分ほどを一気に飲み込まないと中毒にはなりません。
また450ppmの洗口液を10ml飲み込んだ場合、4.5mgのフッ素を体内に取り込んだことになります。
6歳頃の20kgの子どもであれば40mgが中毒量となりますので、
それには9人弱分ほどの量を一気に飲まなくてはいけない計算になります。
このように、基本的には飲み込んでも中毒の心配はありません。
※ちなみにWHOでは、「6歳未満の子どもは洗口液を用いるべきではない」と言われていますが、これは水道水フロリデーションなどの全身応用が実施されてる国で考慮しないといけない話であり、
全身応用をしていない日本には当てはまりません。(洗口液のみでは中毒量に達しないため。)
また、事前に洗口の練習を行い、安全を確認してから実施しているため、日本では4歳児からのフッ化物洗口を推奨しています。
この3つの方法は併用しても良いのか?も気になるところかと思いますが、
これらの方法はいずれも局所応用なので、よっぽどでなければフッ素が過剰に体内に取り込まれることはありません。
むしろ、併用することによって虫歯予防の効果が高まりますので、
可能なら併用をオススメします!
ただし、「フッ素を利用してるから虫歯はできないはず!大丈夫!」というわけではありません。
そもそもお口の中の虫歯菌の量が多い場合は、フッ素を利用していてもそれ以上に酸が作られ歯が溶けてしまいます。
また、甘いものばかり食べていると虫歯ができやすくなってしまいます。
このように、虫歯予防のためには、
・歯磨きによって歯垢(プラーク)を除去する
・お砂糖の入った食べ物の摂取回数を少なくする(だらだらと飲んだり、食べたりをしない)
・フッ化物を利用することで歯を強くする
を実施することが大切です!
これらはどれも大切で、1つだけ頑張っても虫歯予防にはなりません。
この3つを組み合わせて行なっていくことで、虫歯予防につながります。
フッ素だけに頼らず、歯みがきをしっかり行うことや食べ物のコントロールをすることも意識していきましょう!
フッ化物の推奨使用量が変わった??
アメリカなどに比べるとスタートは遅かったものの、日本でもフッ素の応用が進んできました。
では、つい最近、推奨されるフッ化物配合歯磨剤の利用方法が大きく変わったことをご存じですか?
2023年の1月に、
日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会の4つの学会が合同で
フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について発表しました。
4月にはそれの普及版が公表されました。↓
《添付画像をここに載せてください》
引用元: う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法(2023年版)
今回推奨されたフッ化物配合歯磨剤の利用方法は、以前の内容から大きく変更になりました。
◎変更前
★歯の萌出〜2歳:
使用量…切った爪程度の少量
フッ化物濃度…500ppmF
★3〜5歳:
使用量…5mm以下
フッ化物濃度…500ppmF
★6〜14歳:
使用量…1cm程度
フッ化物濃度…1000ppmF
★15歳以上:
使用量…2cm程度
フッ化物濃度…1000〜1500ppmF
であったのが、
◎変更後
★歯の萌出〜2歳:
使用量…米粒程度(1〜2mm程度)
フッ化物濃度…1000ppmF
★3〜5歳:
使用量…グリーンピース程度(5mm程度)
フッ化物濃度…1000ppmF
★6歳〜成人・高齢者:
使用量…歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)
フッ化物濃度…1500ppmF
フッ化物の濃度について、かなりの変更がありました。
歯の萌出直後から5歳は、以前は500ppmFだったのが1000ppmFに変更になりました。
歯磨剤に含まれるフッ化物の濃度が高いほど、虫歯の予防効果も高くなります。
ですが、特に低年齢の場合は歯のフッ素症のリスクを考える必要があります。
そのため、注意書きにも書かれてますし、具体的な使用量の目安があります。
中毒のところで触れましたが、
体重が10kgの子なら、
1000ppmの歯磨き粉20gを一気に飲むことで中毒が出る可能性があります。
が、20gって結構多いですよね。
その年齢のときの研磨剤の使用量は一回あたり米粒程度、とされているので、
中毒量に比べるとかなり少ない量に設定されているのがわかると思います。
ただし、よくわからずに一気飲みする可能性もあるので、小さい子の手には届かないところで歯磨き粉は管理されることをおすすめします。
6歳から14歳は、フッ化物濃度が1000ppmから1500ppmに、使用量も歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)
と大幅に増えました。
ちなみに6歳20kgの子とすると、中毒量は40mg。
1500ppmの歯磨き粉を26.6g程度飲み込む必要があります。こちらも、ありえなくはないですが、自分で飲み込むにはなかなかに大変な量です。
しかし、
これだけぐっと濃度が上がっても、虫歯予防のメリットがリスクを上回るとして、1000ppmや1500ppmに設定されているわけです。
フッ素がいかに虫歯予防に有効なのか、
国をあげて使用をおすすめしていることからもわかるかと思います。
フッ素は虫歯よぼうに効果的!上手く利用することをオススメ
フッ素には賛否両論ありますが、反対派には誤解に基づく意見も多くあると思われます。
虫歯予防のためのフッ素利用については、学問的にも有効性や安全性が充分に確立されており、
WHOでも加盟各国に対してフッ素利用による虫歯予防を実践するよう、すすめています。
実際に日本でも、フッ素の効果は実証されています!
なので、
一部の間違った情報をうけて、フッ素は使わない方がいい、と判断してしまうのはとても勿体無いと思うのです。
たしかに中毒などの可能性もゼロではありません。
ですが、正しく扱えば安全性も高く、虫歯予防にも高い効果のある方法です。
正しい知識を得て、フッ素を利用するかどうかを考えていただけると良いかと思います。
もちろん色んな考え方がありますし、
「フッ素を絶対使うべき!」とまでは言えませんが、
私の個人的な意見としましては
これだけ有効性が高いとされている方法なので、使用量や使用方法を気をつけた上で、上手く利用していくと良いのではないかな…と考えています。
どうでしたか?
今回はフッ素について、少しでも参考になれたらと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。